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株主の皆様へ

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株主の皆様へ

 

2016年は世界経済の成長懸念とともに幕を開けました。市場関係者の中には世界的な景気後退入りを予想する声も聞かれたほどです。第2四半期にはこうした懸念も和らぎ、下半期に入ると世界経済の見通しは改善しましたが、新たな懸念も浮上しました。欧州連合(EU)離脱の是非をめぐる英国の国民投票と米国の大統領選挙の結果や市場の反応について、確信を持って予測できた人は皆無に等しいでしょう。

2015年の特徴は「様相が二分する」一年だったと、昨年のご挨拶の中で申し上げましたが、2016年も同様の一年となりました。しかしながら、2015年とは異なり、時の経過とともに状況は好転しました。お客様も当社も、上半期は厳しい経営環境に直面し、同期間の純収益は前年同期比で28%減少しましたが、その大半は第1四半期に発生したものです。下半期に入ると経営環境は好転し、それに伴いお客様のセンチメントも改善しました。その結果、下半期の純収益は前年同期比で16%近く増加し、年率換算の平均普通株主資本利益率(ROE)は2四半期連続で11%を超えました。

2016年に強く再認識したのは、期待や環境がいかに急速に変化しうるかということ、そしてまた、機敏に、かつコントロール可能なことに集中することが重要だということでした。2016年は困難な船出となったものの、私たちは将来の成長機会を逸することのないよう、お客様重視の姿勢を貫き、経営の効率化に注力してきました。2016年の当社の純収益は306億ドルとなり、純利益は74億ドル、希薄化後普通株式1株当たり利益は16.29ドルとなりました。平均普通株主資本利益率(ROE)は9.4%でした。

当社はコストを厳格に管理しながらもフランチャイズへの投資を継続いたしました。テクノロジー、優秀な人材の獲得と維持、融資業務の拡大、特にゴールドマン・サックス・バンクUSAを通じた業務など新たな事業機会の追求に対しての投資です。取引が活発となった2016年下半期にお客様のニーズに応えられたのも、フランチャイズへの継続的な投資の成果だと考えております。

将来の成長機会を逸することなく、規律ある経営を行うのは時に難しいことです。将来に対する先入観を持たず、お客様へのサポートと同様の発想で、自らの経営課題にも取り組んでいます。当社は景気下振れシナリオへの対応策の検討に多くの時間を費やす一方で、経済、市場および投資家心理の改善により景気が上振れする可能性があることも常に認識し、好機を活かせる態勢を整えています。

当社の顧客フランチャイズは、お客様から信頼される多角的な金融サービス業者を目指したたゆまぬ努力の賜物と確信しています。

今年の株主の皆様へのご挨拶では、当社の財務状況や事業活動を含めた様々な点についてご説明いたします。

財務状況

2016年上半期の厳しい経営環境を受け、当社は様々な対策を講じました。

2016年第1四半期の純収益は前年同期比40%減少したため、報酬および福利厚生費も同40%減額いたしました。前年比では、2016年の純収益は9%の減少、報酬および福利厚生費は8%の減少となりました。

また、年間報酬額(ランレート)を約9億ドル削減する方針を立て、2016年中に約5億ドル(退職金その他関連費用控除後)の費用を削減しました。この施策も含め、2011年以降28億ドルのコスト削減を達成しています。つまり、当社の柔軟なコスト基盤によって、厳しい経営環境を切り抜けることができたと言えるでしょう。

コスト削減努力の成果は、2016年と2011年の決算を比較すれば明らかです。2011年は、純収益の水準が厳しかった点において2016年と共通しており、当社にとって教訓となる年でした。2011年の純収益は約290億ドル、営業費用は約230億ドル、純収益に対する報酬および福利厚生費の比率は42%超、税引き前営業利益率は21%超でした。

2011年に比べ2016年は、純収益が増加したにもかかわらず、営業費用は10%減少し、純収益に対する報酬および福利厚生費の比率も400ベーシスポイント低下し、税引き前営業利益率は12ポイント以上上昇しています。これは徹底したコスト管理の結果であり、将来の営業レバレッジは大幅に改善することになります。

2016年のコスト削減策は、効率化に向けた広範な取り組みの一環です。例えばソルトレイクシティーの拠点の社員数は過去5年間で80%近く増加しており、今では当社で4番目の規模を誇る拠点となっています。

当社の資本と流動性ポジションについては、金融危機以降の新規制に対応し、バランスシートはかつてないほど保守的な内容となっています。あらゆる点からみて、ゴールドマン・サックス、また広範な金融システム全体の安全性は高まっています。例えば、2007年末以降、当社のグローバル・コア流動資産は4倍近く増加し、普通株主資本は約2倍に増加し、総レバレッジは50%以上低下しました。

さらに、過去5年間でバランスシートの規模は7%縮小する一方で、普通株主資本は13%、普通株式1株当たり純資産は40%増加しました。また自社株買いと配当を通じて約320億ドルの資本を株主の皆様に還元し、基本株式は、約20%にあたる1億株以上が消却され、今までで最も低い水準となっています。

こうした取り組みを通じてバランスシートを強化しながらも、顧客フランチャイズの質を維持・向上させることができたことは特筆すべき点です。

投資銀行業務

当社の投資銀行業務は、世界約100カ国に広がる8,000以上の様々な業種のお客様との深い関係によって成り立っています。

2016年、当社はグローバルM&A(公表・完了ベース)ランキングで首位となり、数多くの最重要案件でアドバイザーを務めました。長年にわたり、アドバイザリー業務は当社に新たなビジネスチャンスをもたらしています。その一例が、業界トップクラスの資金調達サービスをお客様に提供する債券引受業務です。当社のアドバイザリー業務の純収益は、堅調だった2015年に比べ減少しましたが、債券引受業務の純収益が過去最高の25億ドルとなったことで一部相殺されました。2016年の引受ランキングでは、グローバル債券分野で5位に、またグローバル・ハイイールド債券分野で3位に入りました。どちらも、これまで大手競合他社と比べてそれほど規模が大きくはなかった分野です。株式引受業務では引き続き業界トップクラスの地位を堅持しましたが、厳しい経営環境から、純収益は大幅に減少しました。

それでも、投資銀行業務の受注残高が第4四半期に増加したため、2016年は好調のまま終了しました。

機関投資家向けクライアント・サービス

トップクラスのグローバル・プラットフォームを誇る当社の機関投資家向けクライアント・サービス(ICS)は、債券・為替・コモディティ業務(FICC)および株式業務から構成されています。当社は、様々な金融商品、サービスおよび地域をカバーすることで、あらゆる角度からお客様のニーズにお応えできる、今や数少ない金融機関の1つです。

過去数年間、ゼロ金利あるいはマイナス金利、イールドカーブのフラット化、低成長などの例外的な環境が続きましたが、このような環境に基づいて、FICCフランチャイズについて拙速な結論をだすことはしませんでした。お客様にとって大切なビジネスにコミットし続けることを重要視しているからです。

当社の顧客フランチャイズは多岐にわたり、特にヘッジファンド業界との長年にわたる強固な関係には定評があります。商品の多様性、グローバルなネットワーク、世界トップクラスのプライム・ブローカレッジ・サービス、さらには取引内容に応じたエンゲージメント戦略は、ヘッジファンドのお客様に役立っているものと自負しています。

過去数年間、伝統的な運用会社との関係強化を重要課題として位置付けてきました。運用会社が歴史的に強みをもつ米国のキャッシュ・クレジット分野において、当社の市場シェアが拡大していることはその表れです。

ヘッジファンドおよびアクティブ・マネージャーにとって、2017年はこれまでとは大きく異なるより魅力的な市場環境になる可能性があります。市場における相関性の減少が通常以上の運用成績を生み出す環境要因となれば、顧客活動の活発化に資することとなるでしょう。

2016年初めの逆風にもかかわらず、ICS業務の純収益は前年比でわずかな減少にとどまりました。FICC業務の純収益は前年比で微増でしたが、第1四半期の市場環境を考えれば特筆に値するでしょう。一方で、株式業務の純収益は、低調な顧客活動を背景に前年比で大幅に減少しました。

投資運用業務

当社は、幅広いソリューション・ポートフォリオおよび安定したパフォーマンスにより、世界で最も高成長を遂げているアクティブ・マネージャーの1社です。当社は富裕層のお客様を対象とした資産・負債管理、それぞれの機関投資家に合ったアドバイザリー・ソリューション、あらゆる資産クラスをカバーしたファンド商品など、多岐にわたる商品・サービスを提供しております。

2016年の純収益は、主に成功報酬の低下により前年比で減少しましたが、厳しい環境の中でもフランチャイズの構築に注力し続けました。過去3年間で契約資産残高は3,370億ドル増加し、過去最高となる1.4兆ドル近くに達しました。これは、わずか3年で米国上位30社規模の運用会社が誕生したようなもので、そのうち1,500億ドルは買収によらない長期アクティブ運用資金の純流入です。2016年、多くのアクティブ運用会社が顧客資金の純流出に見舞われていました。

投資家はトップクラスの運用会社に資金を集中させる動きを見せており、こうした急成長にもかかわらず、まだまだ当社には大きな可能性があると考えております。各商品カテゴリーに弊社と競合するより大手の運用会社がおり、市場シェアの拡大余地はまだ大きいと考えられます。当社は、総合的なアドバイスの提供、最先端の思考・アイディア、お客様の投資ニーズにより的確にお応えする革新的な商品の提案を通じて、さらなる成長を目指します。

投資および貸付業務

投資および貸付業務は、当社の他のフランチャイズ業務とシナジーがあり、お客様との関係強化に寄与しています。当社は引き続き、直接貸付およびエクイティ投資を通じて長期的な資金提供を行い、長期的にみて高水準のリスク調整後リターンをもたらす投資機会に注目してまいります。

貸付業務の拡大

当社は貸付業務に特に成長機会があると考えています。2016年の投資および貸付業務の純収益の約3分の1が債券およびローンからの収益で、純金利収入は10億ドルを超えています。

当社の実行済みローン残高は過去4年間で2.8倍となり、約640億ドルに増加しました。ポートフォリオの46%が様々な業種・産業の企業向けローンで、富裕層向けローンが32%、不動産ローンが17%と続いています。投資銀行業務のお客様や富裕層の方々のニーズは引き続き高まっており、貸付ポートフォリオの拡大に慎重に取り組んでまいります。

昨年の秋に立ち上げたMarcus: By Goldman Sachsは、個人のお客様に高金利のクレジットカード・ローンに代わる選択肢を提供する、オンライン融資プラットフォームです。当社が培ってきたテクノロジーやリスク管理における強みと、デジタル・ファイナンスの成長とが相まって、ゴールドマン・サックスはこの魅力的な新市場で、新たな価値を提供できると考えています。

あらゆる観点から見て、この分野には大きなビジネスチャンスがあります。米国における無担保消費者向けローン市場の規模は約8,500億ドルです。当社は、5,000ドルから30,000ドルのクレジットカード債務を抱える信用力の高い消費者をターゲットとしており、その多くは、債務管理について、クレジットカードに代わるよりよい方法があるという認識を持っていません。事業を徐々に拡大する中で、利用者の皆様から励みとなるご意見もいただいております。引き続き、リスク調整後リターン成長の可能性があるものとみています。

テクノロジーへのフォーカス

テクノロジーは、当社のビジネスをあらゆる面で支えています。つまり、テクノロジーは当社の競争上の強みの根幹であり、お客様の満足度を高め、業務の効率化を推進し、さらにはMarcusのように新たな成長機会を生み出すことにより、当社の長期的な価値向上に寄与するものです。

最先端テクノロジーへの投資事例として、機関投資家向けの多くのアプリケーションやMarqueeプラットフォームが挙げられます。Marqueeを活用することで、お客様は、当社のマーケットメーカーが使用する分析・リスク管理ツールと同様の機能のいくつかを利用することができます。

さらに当社は、執行にスピードと差別化が要求されるシステマティック運用を行うお客様向けの機能や、ストレート・スルー・プロセッシング(STP)機能などの電子取引執行機能向上を目的としたインフラ投資も行っています。

当社はまた、電子取引執行プラットフォームへの投資にも実績があります。こうした投資の結果、当社のグローバル・インフラストラクチャーは、株式取引や一部のFICC取引を、従来と比べはるかに効率的に処理することができます。重要なのは、クオンツ運用を行うお客様のみならず、すべてのお客様が取引執行の効率化によるメリットを享受できるということです。

また、当社は社員採用プロセスについても、特に第一次面接におけるビデオ面接を効果的なものとしてより広範かつ多様な人材プールを評価対象とすることができるよう、テクノロジーを活用しています。2017年のインターンシップでは、面接を行った応募者の出身校は昨年よりも100校増加し、900校を超えています。

当社の人材

長期的にみて、当社にとって競争上の最も重要な強みは、もちろん人材です。業界内外で最も優秀な人材を採用・維持することは当社にとって極めて重要であり、我々の成功が永続するための基盤です。

当社は、多様性に富み、当社が業務を行う国々とその文化を代表する企業でなければなりません。当社の人材は、160を超える国々の出身で、100以上の異なる言語を話します。

ゴールドマン・サックスは、今なお非常に魅力的な職場であり続けていることを、ここに謹んでご報告いたします。2016年、当社のサマー・インターンシップおよびフルタイム・キャンパスへの応募者数は11%増加しました。合計わずか5,000人の募集枠に対し、応募者数は約130,000人、採用率は約4%の難関でした。さらに、採用通知を受けた応募者の10名中約8名が採用を承諾しています。また当社は昨年、フォーチュン誌の「最も働きがいのある会社ベスト100」のひとつに選定されました。1984年にGreat Place to Work Instituteがこのランキングの発表を始めて以来、毎年その栄誉に浴してきたのは当社を含めてわずか5社にすぎません。

当社のビジネスにおいてテクノロジーの重要性が増しているため、科学、テクノロジー、工学、数学(STEM)のバックグラウンドを持つ人材の採用に注力しています。2016年に入社した大卒新人社員のうち、37%がSTEM専攻です。今日では、社員のおよそ4分の1に当たる約9,000人がエンジニア関連の様々な職務に従事しています。

さらに当社の人材の多くは、ゴールドマン・サックスで長期的なキャリアを築くことに価値を見出しています。パートナーおよびマネージング・ディレクターの平均在職期間は15年で、その60%近くは、アナリストまたはアソシエイト(ともに当社の新卒レベルの役職)として入社しています。

採用する人材が長期的に当社で働いてもらうことができるよう、当社はアナリストの新人研修に何千時間を投じ、シニアな役職員には何千もの授業形式の研修プログラムとオンライン・リソースを提供しています。

経営陣の継承と経験豊かな幹部人材

2016年から2017年の初頭にかけて、当社役員に一部異動があり、また取締役会に重要なメンバーが加わりました。会長兼CEOとしての私の最優先課題の1つは、取締役会と協議して、役員の異動を円滑かつ効果的に行うことです。

昨年12月、大統領就任前のドナルド・トランプ氏が当社の社長兼COOであったゲーリー・コーンを米国国家経済会議(NEC)委員長に指名しました。ゲーリーは、当社最重要施策の多くを立案、指揮し、お客様、社員およびゴールドマン・サックスの企業文化に深くコミットしてくれました。ゲーリーは、多くの社員にとって、信頼できるアドバイザーであり、熱意ある同僚であり、友人でもありました。ゲーリーの貢献に感謝するとともに、彼の今後の活躍を祈ります。

これに伴い、投資銀行部門共同責任者のデービッド・ソロモンと、CFOのハービー・シュワルツが新たに社長兼共同COOに就任しました。また、最高情報責任者(CIO)のマーティン・チャベスがゴールドマン・サックスのCFO補佐に任命され、今後CFOに就任いたします。

昨年はまた、経営幹部数名が当社を引退しました。副会長兼ゴールドマン・サックス・インターナショナルの共同CEOであったマイケル・「ウッディー」・シャーウッドに加え、副会長兼アジア太平洋地域の会長であったマーク・シュワルツが引退を発表しました。両氏とも長きにわたり当社に務めました。私たちは、ウッディーとマークの今後の活躍を祈るとともに、ゴールドマン・サックスへの多大なる貢献に感謝の意を表します。

これを受けて、投資銀行部門共同責任者兼ゴールドマン・サックス・インターナショナルCEOのリチャード・ノダと、当社証券部門の共同責任者パブロ・サラメが副会長に就任しました。デービッド、ハービー、マーティン、リチャード、パブロはいずれも、広範な事業・地域にわたり、それぞれの専門分野で顕著な実績を長年あげてきました。

12月には取締役会にエレン・クルマンが新たに加わりました。エレンは、米国デュポン社(E.I. du Pont de Nemours and Company)において、会長兼CEOを含め経営幹部として様々な役職を歴任してきた、経験豊かなビジネスリーダーです。ビジネス分野での豊かな経験のみならず、公的セクター、非営利セクター双方での取締役・理事としての実績は、当社の取締役会に多大な価値をもたらすものと確信しております。

リーダーシップおよび公職に関する当社の伝統

ゴールドマン・サックスの出身者が公職に就くのは、ゲーリーが初めてではありませんし、今後も当社の出身者が公職に就くことを望んでいます。私の前任者のうち5人が公職に就いていますが、このことは決して偶然ではありません。というのも、公職に就く機会を与えられた者は、それに尽力するという精神がゴールドマン・サックスには根付いているからです。これは、当社が事業を行う多くの地域でも長年実践されてきたことです。

私たちは、視野の広い人材を採用しており、社員にはその職務において社内外双方に目を向けることが求められます。その過程で、巨大かつ複雑な組織の中で職責を果たすためのスキルを習得し、経済発展および雇用創出に寄与するための専門知識を身につけていくのです。

長年ゴールドマン・サックスでキャリアを築いた人材が公職に転進することに批判が向けられています。他社よりも有利な扱いを受けているのではないかというのがその理由です。しかし実際はその逆であり、公職にある者は何かしらの便宜を図っていると疑われないよう常に細心の注意を払っています。

私たちは、当社のリーダーシップ及び公職に奉仕する伝統を誇りに思っており、当社企業文化の根幹のひとつと考えています。であるからこそ、私たちは、幸いにも公職に就く機会を与えられた同僚がいる場合、引き続き奨励していきたいと考えます。

また私たちは、財政政策など幅広い政策課題に関する専門知識や知見を提供してきました。また当社の社員に影響を与える課題については、社員のために臆することなく意見を表明してきました。過去には婚姻の平等について、最近では移民政策について意見を表明しましたが、いずれの課題も、幅広い人材プールから社員を採用し、働き続けてもらう上で影響のある課題だからです。今後も当社の社員、ビジネスおよび経済成長に長期的に影響を与える政策について、自社の意見を表明してまいります。

地域社会への貢献

ゴールドマン・サックスは、世界中の社会的・経済的課題の解決に取り組むことが私たちの責務だと長年考えてまいりました。当社の支援は、様々な慈善活動への多額の金銭援助にとどまりません。私たちの生活や仕事の場である地域社会、また時にはこれをはるかに超える範囲において、解決が急務となっている問題に対し、当社の専門知識、リレーションシップ、知見を活用した意義ある貢献を行っています。

1万人の女性(10,000 Women

ゴールドマン・サックスの「1万人の女性」プログラムは、2008年の立ち上げ以降、56カ国の女性起業家にビジネスに関する教育や資金調達の機会を提供することで、経済成長の促進に寄与してきました。このイニシアティブは、女性起業家が事業拡大に必要な資金をより容易に調達できるよう、国際金融公社と提携して立ち上げた初のグローバルな融資制度によりさらに拡大し、1万人を超える女性に貢献しています。2016年末までに同制度に基づき17の新興国の銀行との間で6億ドル以上の融資契約を締結したことにより、30万人以上の女性起業家に資金調達の道が開かれました。

1万社の中小企業(10,000 Small Businesses

「1万社の中小企業」プログラムは、2016年末までに、米国および英国の31都市で7,300社以上の中小企業に貢献してきました。このイニシアティブに基づき、100行以上の銀行その他の機関と連携し、経営教育、資金調達および事業支援サービスを提供してきました。このプログラムの第三者評価によると、参加企業は、経済全体を上回るペースで、安定的な増収を実現し、新規雇用を創出しています。

ゴールドマン・サックス・ギブズ

当社のパートナーは、このドナー・アドバイズド・ファンド(寄付者助言型ファンド)を通じて、世界中の非営利団体に寄付を行っています。2010年の設立から2016年末までに、当ファンドは、ゴールドマン・サックス・ギブスの革新的なアイディアを育むことを通じて経済的・社会的問題の解決をするというミッションを促進する、5,600の非営利団体に対して28,000件以上、金額にして合計12億ドル近くの寄付を行いました。最近でのいくつかのキーとなるイニシアティブとしては、中東難民危機の支援、世界中の恵まれない若者に対するSTEM教育、様々な分野における医療研究、さらには世界中のカレッジや大学のニーズに合わせた奨学金助成を上げることができます。

将来に向けて

私たちはよく「先のことは誰も分からない」と言います。市場は一瞬にして変化しますし、その要因について確信を持って予測できる人は誰もいません。景気サイクルは常に変動推移します。しかし、規律を持って事業を運営し、将来の成長機会を取り込めるだけの柔軟性を維持している限り、私たちは最善の態勢でお客様のニーズにお応えし、当社フランチャイズを拡大することができると考えています。

どんな景気サイクルにあっても、長期的な展望を持ちつつ短期的に必要な対応を取り、中核事業への取り組みと投資を継続的に行うことの重要性を長年にわたり強調してきました。ここ10年ほどの間で、一部の競合他社がセールス&トレーディング業務から撤退しました。その背景には、この業務の収益性が市場動向や規制環境の変化などにより恒久的に悪化しているという判断があったと考えられます。

当社は、景気サイクルの変動にかかわらず、セールス&トレーディング業務を通じてお客様に価値を提供することにコミットしてまいりました。景気サイクルが一巡するまで、弊社において適切にコスト削減と事業に対する投資をうまくバランスすることができたかどうかは分かりません。しかしながら、未来がどの方向に進んだとしても、明るい見通しを持っています。

個人としての政治的信条はさておき、米国大統領選挙の結果を受けて、大規模なインフラ投資、大型減税および規制緩和が実施される可能性が高まりました。これは米国にとって大きな方向転換であり、多くの投資家や企業にとって将来について楽観的な見通しをもつ根拠となるものです。

米国大統領選挙の前でさえ、経済成長にはすでに改善の兆しが見えていました。米国では経済指標の改善を受けて利上げが見込まれます。他方、米国以外のグローバル・マーケットでは金利の据え置きまたは金融緩和政策が継続しており、投資家に、金融政策の乖離に基づく投資機会を提供しています。

今後、より持続的な市場トレンドが浮上する可能性もあり、その場合には顧客活動が活発化することでしょう。2017年に向けて、ゴールドマン・サックスは、株主の皆様に対して長期的な価値を提供しながら、引き続きお客様と協働し、当社のリソースを活用してお客様の目標達成をサポートすることにコミットしていきます。

私は、当社の顧客フランチャイズがかつてないほど強化されていると考えています。私たちは、厳しい環境に耐え、顧客活動が活発化した際には素早く攻勢に転じられるようにバランスシートを変革しました。また、営業費用と資本を慎重に管理した結果、強い営業レバレッジを構築いたしました。

ぶれることなく当社の戦略にフォーカスすることで、引き続き株主の皆様に業界トップクラスのリターンを創出するとともに、長期にわたり他社をしのぐ業績を上げることができると、私は確信しています。

 

 

ロイド・C・ブランクファイン
会長兼CEO

 

本文は英語の原文を翻訳したものです。本文と原文に相違がある場合には、英語の原文が優先します。