|
入社以来エクイティ(株式)部門でデリバティブ(金融派生商品)のトレーディングを担当しています。入社して最初の3年間は、「ポートフォリオ・トレーディング」という分野を担当しました。その後、担当商品が「株券オプション」に代わり現在に至ります。どちらもデリバティブ・トレーディング部の一部です。
「デリバティブ」といっても、商品自体の特性は、学生の立場、及び一般個人投資家の立場では、まだまだなじみが浅いであろうと思います。一方、欧米では、コールオプション、プットオプションといったデリバティブ商品を個人投資家でも活発に取引しているとききます。このことからも推察されるように、残念ながら欧米市場と比較すると日本国内では株式デリバティブは投資家の運用商品としてまだまだ定着しているとはいえません。近年投資家の関心は高まってきており、取引高も現物の株式市場以上のペースで成長していますが、これからさらに大きくなりうる、なっていかねばならない、と考えています。
日本では、投資家の間でなぜかデリバティブは危険な投資手段と思われている面があります。私もそんな風にこの商品を紹介している書籍に出会ったことがあり、自分がフォーカスしている分野が、このように描写されることをみて悲しく思いました。しかしながら、8年間にわたりデリバティブ業務に従事してきた知識をもとに客観的にいって、デリバティブは決して悪者ではなく、むしろ商品に対する正しい理解さえあれば、株式・債券投資の代替投資手段として非常に有効なツールである、というのが私の認識です。
私の今の目標は「デリバティブを日本で正しく流行らせること」です。自分の30代をこの目標をなし遂げることに費やそうと思います。誤解している人が多いからなおさらやる気が出ます。実際、投資家からのデリバティブに関する問い合わせは急激に増えており、特にここ5年間は数字の上でも大きな成果を得ることができました。しかし、まだまだ伸ばしていかねばなりません。
大学及び大学院で統計学を専攻しました。就職先としては、その応用分野としてファイナンシャル・エンジニアリングに関心がありました。デリバティブトレーダーの仕事はまさにその知識を学び、そして活かしていけるポジションです。大学で学んだことにはそれなりの自信がありましたが、入社してしばらくはその自信が打ち砕かれる場面も多くありました。ビジネスと学問のフィールドの違いは大きく、上司や先輩からはよく叱られました。逆に「このままでは辞められない」と思ってより必死に勉強しました。「あ、成長したな」と感じるようになったのはようやく入社4、5年目の頃。それまでは先輩に追いついていくことに必死だった気がします。
デリバティブトレーダーとして必要なスキルは色々ありますが、まずは英語力。商品の性質上周囲はほとんど外国人なので、オフィスにいる間はすべて英語です。私は海外留学の経験はほぼゼロですが、入社前も後も英会話スクールに通ったりしながら力をつけてました。市場ではネイティブ・スピーカーと勝負しなければならないので相当の英語力が求められます。学生さんが、今現在流暢に話せなくてはならないという訳ではありませんが、いずれ必要になります。苦手な人は入社後の猛勉強を覚悟しておいた方がいいでしょう。
金融知識はもちろん必要です。私自身は入社前に証券アナリストの本を読んだり有志で勉強会をしたりもしましたが、実践に勝るものはありません。優秀な先輩トレーダーのデスクにイスを持って行って、どういう風に投資判断を下すかを横でずっと観察している時もありました。ゴールドマン・サックスには優れたトレーダーが多くいるので、そうした形で勉強できる機会も多いです。
ただ私は、入社以来一貫してデリバティブのトレーダーだったこともあり、他の金融商品についての知識不足を感じることがあります。分野の違う商品を学ぶことでより経済を深く知り、それが自分のフォーカスする分野に対しての新しい知恵やアイデアにつながるかも知れません。もっと幅広くどん欲に吸収し、デリバティブという金融商品を広めることで、国の経済の発展にささやかでも貢献して行きたいと願っています。
|